中央線終点の高尾で乗り換えてわずかひと駅の相模湖駅から、冬枯れの里山の姿を眺めながら歩いて十分、小さな湖を堰き止めているダムの傍らに、会場となる相模湖交流センターはあります。ここのホールは音響の良さで知られ、世界的な演奏家がここを指定してレコーディングするという、隠れた名ホールです。
羽衣をめぐる漁師と天女の物語は、白鳥伝説として東アジア各地に伝えられています。能『羽衣』は駿河国風土記を下敷きに、能作者の様々な想いを詰め込んで、美しい詞章と分かり易い筋立てで、現在最も人気のある曲の一つです。
私見では、この曲は能が現代まで伝承されるに至る重要な鍵を隠しています。能をご覧いただく前にそのあたりを少しお話し致します。
どうぞ睦月晦日に都会の喧騒を離れて、幽玄のひとときをお楽しみ下さい。