2017年5月11日木曜日

演能のお知らせ 『賀茂』


九皐会六月例会にて『賀茂』を致します。

この曲は後に別雷神(わけいかづちのかみ)となって烈しく動きますので、若手が演じることが多いのですが、神物としての品格や物語の背景の奥行きなど、漸くこの年になって見えて来たこともあり、平成八年の初演以来、二度目の舞台に臨みたいと思います。


作者は、世阿弥の娘婿で優れた作品を多数創作した金春禅竹です。賀茂氏の氏神を金春の祖である秦氏に関連して語るなど、創作の意図には裏がありそうです。
ワキに播州室の明神の神職を配したのも、播磨の守護で将軍義教を暗殺した、赤松氏と大和猿楽との関係を匂わせます。

その意図を拝察しつつ、曲の構成に忠実に、神物らしい勢いと別雷神の躍動する力を、舞台に実現したいと思います。


どうか初夏の一日、矢来能楽堂にお出まし下さい。