2017年1月19日木曜日

演能のご案内

演能のご案内を申し上げます


二月五日(日)鶴亀 緑泉会例会 於 目黒・喜多能楽堂

朝廷の初春の祝賀の席に、臣下が居並び帝の徳を賛え、吉兆の鶴と亀が舞を舞い、続けて帝自らが荘厳に舞います。


 謡の入門曲として親しまれている鶴亀ですが、演能の頻度はそれ程高くありません。劇性の全くない曲のため、面白さに欠けることは否定できません。また登場人物が皆、直面(ひためん。能面を用ず、自分の顔をそのまま面とする)なので、能面の力に縋ることもできません。しかしこのような曲にこそ、能の本当の力が凝縮されているのです。
 能舞台から発せられる波動は、寿福を施す恵みとなり、同席する人々に幸せと健やかさを与えます。能の舞には人知の及ばない領域から、自然の力を引き出してくる力があるのです。映像では伝わらないその力こそが、能の能たる所以だと私は常々考えています。
 装束は今回も山口能装束研究所の復原装束を拝借します。江戸時代の武士が精力を注ぎ込んだ美の品格をお楽しみ下さい。
 しかも今回は鶴と亀に適役を得ました。長らくお稽古に通ってくれている、松浦薫君と航君の兄弟です。能が大好きな二人と私との舞の競演を、是非とも能舞台見所で直接味わってみてください。

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