
この曲は盲目の少年・俊徳丸が父・高安通俊と再会する物語です。
舞台となる大阪の四天王寺の西門には今でも石の鳥居があります。 境内は少し高台となっていて、 鳥居の外に大阪の町並みを見渡すことができますが、 当時はそこには海が広がっていました。
また、舞台に作り物を出したりはしませんが、 その鳥居の傍らには梅の花が咲いています。 まだ寒さの厳しい中、 色も薄く密やかに咲きながら、 その芳香がこの曲を包んでいます。
さて、通俊が行う施行の場に、 弱法師となった俊徳丸が現れますが、 その変り果てた姿に父は我が子と気づきません。 梅の香に包まれた弱法師が、 天王寺の縁起を語っていると、 境内に鐘の音が響きわたり、 周りの全てに仏心が輝くと見えたその時、 父はそれと知るのです。
雑踏の中での父子の名乗りを憚った通俊に、 日想観(じっそうかん)を勧められて、 弱法師は入り日向って観想行に入ります。 鳥居の外に広がる海の向うに日は沈んで行きます。 夕闇に家路を急ぐ参拝客にぶつかりながら、 何とか杖を頼りに立ち上がった弱法師に、 通俊はついに名乗って再会を果します。
この曲の作者は世阿弥の跡を継ぎながら、 三十半ばで急死した十郎元雅です。 この背景には何かが秘められているようです。 通俊が讒言した者を「さる人」と言うのは、 その人の身分が高いことを思わせます。 おそらく、 この作品は元雅の死の一年前に作られています。
梅の花にはまだ早いかも知れませんが、 春を待つ一日、 是非能楽堂へ足をお運び下さい。
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