2021年7月30日金曜日

これぞ実験!能楽らいぶ × ライブペインティング

この実験的な催しは、昨年四月、コロナが蔓延し始めて催し物が次々と中止に追い込まれていた頃、今だから敢えてと企画した催しでした。
昨年は中止となってしまいましたが、病禍未だ猖獗を極める中、この秋は万難を排して実施したいと思います。

能と現代アート。
一見対極と見える組合せですが、対極は背中合わせに繋っていることがよくあります。

「有限なものを組合せて無限を表現する」

という言葉は、能装束研究家の山口憲さんがいつも私に話して下さる、能の本質に関わる言葉です。中津川浩章さんの作品は、線描のみで無意識の世界を具象化しようとしているように見えます。無意識の世界即ち無限です。

この春の中津川さんの個展の時、フェイスブックを介してなされた、私と中津川さんの会話を紹介します。

(所)中津川さんの個展に行ってきました。「線を解放する」というタイトルです。普通線を書くときは意識によってコントロールされていますが、中津川さんの線は無意識の領域からそのまま形となっていて、まさしく線を意識の絆から解放しています。

能は約束事即ち「型」で構成されています。稽古の段階では意識によって「型」をなぞり、シテの気持ちやら情景やら様々の事を考えるのですが、
最終的にはその意識を全て型に集約してしまって、意識の絆から解放します。

(津)死者の魂の召喚というか、呼び覚ますものは型によってしかなし得ないのではないかと思うこともあり、でも解放されないと召喚できないのでないかとも思うこと、その往還ばかりです。


今回のコラボレーションで二人の取り決めはありません。
私はただ自分の作品を「一人らいぶ」で演じ、中津川さんはその空間を共有しつつペインティングをするだけ。
その時二人に何が起きるのか起きないのか・・・。

政治や社会に対する芸術や宗教。
溶け合っているのが理想なのでしょうが、そうではない現在、やはり私は後者の側に身を置いていたいのです。


 

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